研究の対象者
| グループ | 人数 | 内容 |
|---|
| ムスリム系の国出身の女性 | 要旨には個別の人数の記載なし | 妊娠糖尿病のスクリーニング検査を受け、一部の検査がラマダン期間中に行われた |
| 比較グループ(非ムスリム系の国出身) | 要旨には個別の人数の記載なし | 年齢をマッチさせた上で、同じ方法でスクリーニングを実施 |
対象者: 全体で35,054件の妊娠、全員女性、18歳から50歳。妊娠前に糖尿病と診断されていた人はいません。スペインのカタルーニャ地方に住んでおり、2つのグループは年齢でマッチさせました。
実際の断食の内容: ラマダンは、信仰心のあるムスリムが日の出から日没まで飲食をしない月です。研究者が誰かに断食をするよう指示したわけではありません。単に、妊娠期間中にラマダンの時期が重なった際の検査結果と、それ以外の時期の検査結果を比較しただけです。
研究結果:ラマダン中の妊娠糖尿病診断率
ムスリム系の国出身の女性は、年間の他の時期と比べてラマダン中に妊娠糖尿病と診断される割合が高くなりました。
| グループ | 妊娠糖尿病の診断率 |
|---|
| ムスリム系の国出身の女性 | ラマダン中は12.8%、それ以外の時期は8.84% |
| 比較グループ | ラマダン中は5.57%、それ以外の時期は5.52% |
- ムスリム系の国出身の女性のうち、ラマダン中は約8人に1人が診断されました。
- 同じグループでも、それ以外の時期は11人に1人未満でした。
- 比較グループの診断率は、季節によってほとんど変わりませんでした。
- 年齢、体重、血圧、収入を考慮して調整した分析でも、同じ傾向が見られました。
- 研究者は、この差が偶然である可能性は低いとしています。
変化が見られなかった点
- 比較グループの診断率は、1年を通してほぼ横ばいでした。
- 要旨からは、ラマダン中に実際の血糖コントロールが悪化したことを示す内容は見当たらず、変化したのは診断率のみでした。
- 筋肉量や体重などの身体測定値は、この研究では報告されていません。
研究者たちの見解
研究チームは、ラマダン中に診断率が高くなった理由として、断食そのものの影響、または検査の実施方法やタイミングの変化が考えられると述べています。医師はラマダン期間中、妊娠糖尿病のスクリーニング検査を計画する際にそのタイミングを考慮すべきだとしています。
この研究が妊婦にとって意味すること
- ラマダン中に妊娠している場合、糖尿病検査の最適なタイミングについて医師に相談しましょう。
- この研究だけでは、断食そのものが血糖値を上げるかどうかはわかりません。わかるのは、ラマダン中に診断率が高かったという事実だけです。
- ムスリム系の国出身の女性で最も大きな差が見られましたが、他の女性ではそうではありませんでした。
- 検査のタイミングが断食と同じくらい重要かもしれません。 研究者は、断食だけでなく検査の実施方法も原因となりうると指摘しています。
- ラマダンと女性ホルモンについてさらに詳しくは、ラマダン断食と更年期ホルモンの関係をご覧ください。
- 断食と女性の血液の健康について別の視点からは、断食と女性の鉄分レベルをご覧ください。
この研究でわからなかったこと
- これは対照試験ではありません。研究者が誰を断食させるかを決めたわけではないのです。
- 断食そのもの(他の要因ではなく)がこの差を引き起こしたと断定することはできません。
- 調査対象はスペインのカタルーニャ地方の記録のみです。他の地域では結果が異なる可能性があります。
- ムスリム系グループの中で、実際に何人が断食を行ったかは報告されていません。
- 要旨には、研究の資金提供元は記載されていません。
研究の詳細データ
| |
|---|
| タイトル | Overdiagnosis of gestational diabetes mellitus during Ramadan: a retrospective population-based study in Catalonia, Spain |
| 掲載誌 | BMC Medicine |
| 発表時期 | 要旨には記載なし(2026年) |
| 研究タイプ | 後ろ向き集団ベース研究 |
| 対象者数 | 35,054件の妊娠エピソード |
| 期間 | 2010年から2019年の医療記録 |
| 主任研究者 | M. Carrasco |
| 所属機関 | スペイン・リェイダ、アルナウ・デ・ビラノバ大学病院 内分泌・栄養科 |
| 資金提供 | 報告なし |
| 出典 | PubMedで見る → |
Carrasco, M., Vlacho, B., Franch-Nadal, J., Real, J., Monroy, G., Soldevila, B., et al. (2026). Overdiagnosis of gestational diabetes mellitus during Ramadan: a retrospective population-based study in Catalonia, Spain. BMC Medicine. PMID: 41559733
よくある質問
妊娠中の断食は妊娠糖尿病の原因になりますか?
この研究では、そのことを直接調べたわけではありません。調べたのは、ラマダン中に診断率が変化するかどうかであり、糖尿病そのものの原因ではありません。
妊娠中にラマダンの断食をしても安全ですか?
この研究では安全性そのものを直接調べていません。わかったのは、あるグループでラマダン中に診断率が上昇したという事実です。断食をするかどうかは、必ず医師に相談してから決めてください。
なぜラマダン中に診断率が上がるのでしょうか?
研究者は、断食そのものの影響か、あるいはラマダン中にブドウ糖検査の実施方法やタイミングが変わることが原因ではないかと考えています。
非ムスリム系の国出身の女性にも同じ影響がありましたか?
いいえ。このグループの診断率はほとんど変わらず、ラマダン以外の時期は5.52%、ラマダン中は5.57%でした。
この研究の対象者は何人でしたか?
9年分の医療記録の中から、妊娠糖尿病のスクリーニング検査を受けた35,054件の妊娠が対象となりました。
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